夏休みのある日、小学校六年生の秀一が突然家出した。その波紋は、静かに深く広がって激しく家庭ををゆさぷった。家出さきで出くわしたさまざまな出来事---ひきにげ殺人事件の目撃、武田信玄の隠し財宝の秘密、薄幸の少女夏代との出会いなど---が微妙にからみあって、教育ママの母親や優等生の兄妹の重圧から彼を解放する。
 ,家庭がもつ強さともろさの二面性を児童文学の中にみごとに描き、読み物としても抜群におもしろい話題作。