孤独をいやしてくれるのは、都会のはなやかさではなく、ふるさとの母が娘を恩う心。(「タマネギ色のなみだ」)生活に疲れた男の身勝手さをせめながらなお幸福をゆめみて、スミレになってしまう妻。(「野原をひとはこ」)---
 妻であり、母である作者が、日常のドラマを妖精の目と心で、ときにはユーモラスにときには凄絶な美しさで、あざやかにとらえてみせる童話21編を収録。