これは1800年代のころのお話です---。大きさはオットセイの半分、顔はどこか仔猫に似て、お腹を上に、前足を胸にコンプのべッドでのんぴり昼寝するラッコ。しかしそのヒロードのような毛皮のゆえにいつも人間に狙われてきました---。氷の浮かぶ北の海でエスキモーの少年と共に流した涙はなんだったのでしょう。人間の営為のもたらす避け得ない悲しみをあざやかに描く、サンケイ児童出版文化賞、NHK児童文学奨励賞受賞作。