戦後の食糧難とさまざまな混乱のさなかに書かれた「とかげのぼうや」から昭和43年の「千代とまり」まで20余年にわたってたゆみなく、ひたむきに書きつづけられた子供のための珠玉の作品の数々。
 子を失った母親の悲しみを抒情豊かに描き、坪田譲治をして、「アナトール=フランスとかアントン=チェホフなどという人の作品の中に混じっていても、おそらく疑いをさしはさむ人はないだろう」と絶賛させた表題作「貝になった子ども」(第1回児童文学者教会新人賞受賞)等、松谷童話の代表的短編17編を収める。