スウィフトの諷刺は、一点の感傷も交えない骨を刺す体のものであり、直接の対象は当時のイギリス社会の具体的事件や風俗であるが、それらは常に人間性一般への諷刺にまで高められており、そこに彼の作品の永遠性、普遍性がある。本書は、船員カリヴァの漂流記に仮託した『小人国』『大人国』『飛島』『馬の国』の四部の物語からなり、古今東西を通しての諷刺文学の傑作である。