軍隊に招集され、鍛工兵として馬の蹄鉄をつくる仕事に従事した主人公、イシザワ・モミイチは、戦地インドシナ半島では、ツキスミという名の馬を世話する係になった。戦地を転々としている間に敵の攻撃をうけ、ほとんどの記憶を失ったが、ツキスミのことだけは鮮明に覚えていた。
 敗戦になって山の牧場に引き揚げたモミイチは、山中でジプシ―たちに出会う。彼らの奏でる音楽もいつか、ポッカポッコリと歩くツキスミの軽やかで楽しいくユーモラスな調子になってひぴいてくる---。
 戦争体験から生まれ、日本児童文学者協会賞、サンケイ児童出版文化賞、野間児童文芸賞など、かずかずの賞を受賞した、戦後児童文学の屈指の名作。